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大震災の教訓を生かせ!

~JSCAのこれまでの取り組みと今後~

 

2003年を振り返る

2003年は、1923年の関東大震災から80年目、阪神淡路大震災から8年目に当たる年でした。
大地震に関する予測記事が週刊誌を賑わせた年でもありました。また、各地で震度5を超える地震(5.26宮城県北部の地震、7.26宮城県北部の一連の地震、9.26十勝沖地震)が発生し、発生地域に多くの被害をもたらし、地震防災の技術は未だ完成していないことを改めて感じさせました。
わが国では、めざましい高度成長と建築技術の発展に伴って、戦後の荒廃した姿からは想像もできないような近代都市が生まれました。その近代都市(多くの中高層建物、密集する低層住宅、工場、地上・地下を横断する鉄道、そして道路)これらを一瞬のうちに壊滅させた兵庫県南部地震は、建築に携わるわれわれはもとより、世界中の人々に衝撃を与え、今もなおその惨状が多くの人々の脳裏にやきつかれていることでしょう。
阪神淡路大震災の犠牲者の冥福を祈り、震災の記憶を後世に伝えるために設けられた「1.17震災の日」がまた訪れます。多くの報道機関が、あの日を振り返り、また、その後の復興状態を取り上げます。建築と直接関わるわれわれは、あらためてあの震災を振り返り、震災が過去のものとして風化することを防ぎ、今後の自然災害への教訓を再認識し、さらに社会活動に生かすことが必要ではないかと考えています。
ここでは、阪神淡路大震災後のJSCAの取り組み、震災の教訓から構造技術者自らが策定したJSCA規準、JSCAのこれからの活動について紹介します。

震災後のJSCAの取り組み

阪神・淡路大震災後、私たち構造技術者は震災直後の建物被災調査から補修・復旧さらには復興に関する多くの仕事に関係し、各種の学会や協会活動、行政庁の調査・診断、耐震指針の作成、評価業務などに参画してきました(復旧・復興に向けてのJSCAの取り組み)。
震災の教訓を生かすため、行政庁や建築に関係する学会や協会において、建築基準法の見直しや多くの指針や規準の改定が行われ、教訓が反映されつつあります。
また、JSCAにおいても震災後、多くのパネルディスカションの開催、シンポジュームへの参加、1997年にはJSCA提言アクションプログラムを公表し、その教訓を生かし活動してきました。

構造技術者自らが制定した規準-JSCA規準-

 震災を経験して私たち建築構造技術者に特に考えさせられた点は、一般社会の建築構造に対する性能に関する認識と、設計者との認識に乖離があったことでした。
 構造技術者は、特に1981年以降、極めて稀な大地震に対し、建築物は多少のダメージ(ひび割れや変形)が残ることはあっても、崩壊や倒壊を免れ、人命を損なわない耐震性を有することを前提に設計していた場合が一般的です。これは全ての建物を、建物使用期間中に1回遭遇する可能性があるかもしれない大地震に対して、震後にも建物の機能を完全に維持することは、建設時の構造躯体にかかる初期コストをむやみに増加させないという経済性の観点から設定されたものでした。しかし、社会は大地震後においても、生活や商業活動、生産活動などを継続しうる機能性までも期待していた事実が明らかとなりました。
 この反省から、「建築構造の性能には、最低グレードのものから高グレードのものまで幅があること」、「法令が対象外とした性能項目に重要なことがあること」を説明しうる設計手法が必要であり、構造技術者自らが制定した規準として2002年JSCA規準を発行しました

  荷重
グレード 日常的に
作用する荷重
まれに
作用する荷重
極めてまれに
作用する荷重
適用されるべき
建築物の用途例
特級   機能維持
無被害
修復不要
主要機能確保
軽微な被害
軽微な修復
防災拠点、拠点病院など
上級   機能維持
無被害
修復不要
指定機能確保
小破
小規模修復
一般病院、避難施設、コンピュータセンター、本社機構、不特定多数が利用する施設など
準上級   機能維持
無被害
修復不要
人命保護
限定機能確保
中破~大破
中~大規模修復
一般建築物
注:は確認対象外の荷重を示す。
※建築構造の性能メニュー JSCA規準より


注:地震荷重の再現期間・発生確率などは、東京地区における例を示す。

性能レベルと構造体の被害・修復程度の概念図

これからの活動

阪神・淡路大震災から8年が経ちました。 アクションプログラムで提案した内容をふまえた活動は、 今後も継続して行っていく必要があります。 社会からの期待に応えられるように、 私たち構造技術者個人も日々の研鑚を積むことで、 社会から信頼される構造技術者の唯一の職能集団「JSCA」の活動は何かを考えていきたいと思っています。


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