ホーム 建築構造を理解するために 特集コンクリートの話:夏休み てく・テク 山手線 +

夏休み てく・テク 山手線 +
=近代のはじまりを感じる小旅行 Part 2=

 

5.コンクリートの話

総武線秋葉原駅から浅草足駅間の高架橋をご紹介した部分で、コンクリートのことに少しだけ触れました。せっかくですからもう少しコンクリートに関連したことついて触れてみましょう。

コンクリートの強さを表す数と単位

コンクリートの強さはどう表されるのでしょう。同じ材料で出来ていても太さが違う棒だと曲げて折れる強さが違います。そこで、どんな材料でも、「強さ」を表すのには、力がかかる場所の範囲から同じ単位になる部分に注目して表します。

同じ単位になるということは、例えば、1cmx1cm=1cmや1mmx1mm=1mmの面積で耐えられる力の大きさで表します。

実際に表現するときは、1kgf/cm(いちへいほうセンチメートルあたり、いちキログラムじゅう)や、1N/mm(いちへいほうミリメートルあたり、いちニュートン)です。

では、強さを表す種類はどうでしょう。押されて耐える強さ、これを、「圧縮強度」、引張られて耐える強さ、これを、「引張強度」と言います。このほかいろんな強さを表す言葉がありますが、まずは、圧縮強度を考えてみます。今回の説明は、コンクリートより身近な角砂糖で説明しましょう。

角砂糖と圧縮強度

身近にある角砂糖「強さ」(圧縮強度)は、次のような方法で調べることができます。

  • 1.平らなテーブルにそっと角砂糖を置きます。
  • 2.上面の辺の長さを測って面積を計算しておきます。
  • 3.工夫して、上におもりをだんだん増やしながら載せていきます。
  • 4.角砂糖が崩れたところでおもりを増やすのを終わりにします。
  • 5.載せたおもりが全部で何グラムあったか調べます。
  • 6.調べたおもりの重さを上面の面積で割ると、強度がでます。

例えば、角砂糖の上の面が、一辺 1.2cmの正方形とすると、面積はかけ算して 1.2x1.2=1.44 cm、載せたおもりが15kgfになったときに崩れたことがわかったとすると、強度は 15/1.44≒10.4 kgf/cmと求められます。(実際には角砂糖大きさや製品の強さにはばらつきがあるので、計算例として考えてくださいね。)

こうして材料(今回は角砂糖)の圧縮強度が求められます。材料の強度が求まると、この強度を使って、どれだけの建物が出来るか計算で予想することが出来るようになります。

角砂糖はいくつ積み上げられるか

では、さきほどの角砂糖で、建物を造ったらどれだけの大きさになるでしょう。

とりあえず単純に考えるとして、高く重ねていくとどれだけ高く重ねられるでしょう。これには、事前に角砂糖のおもさを知らなければなりません。1個が5gf(ぐらむじゅう)だとすると、角砂糖1個では、角砂糖の底面では、1cmあたりに働く力は5gf/1.44 cmで約3.47gf/ cmの力が働くことが求まります。先ほど求めた角砂糖の圧縮強度は10.4 kgf/cmですから全然余裕です。あたりまえですね、それではあと幾つつめるでしょう、考えてみてください。


そう、約3000個、です。これから、一つ1.2cmの高さですので、3600cmの高さまで、即ち、36mまで積み上げられる計算です。実際には、面が平でなかったり、風があったり、振動があったりしてうまくいきませんが。


実際の構造計算も、簡単な手順は同じです。皆さんも、身近にある材料を同じ大きさの立方体に切って、これを使って圧縮強度と重量を求めて、バベルの塔を設計してみてください。材料が違えば、重さも、強度も違います。どんな材料が一番高く積めるでしょうか?

コンクリートのテストピース

先ほど「強さ」の話しで角砂糖を例に説明しましたが、実際の建築の仕事や研究の中でコンクリートの強さを調べるときも同じようにします。強さを調べるときは、「テストピース」とか「供試体」と呼ぶ試験用の固まりを作ります。

ちなみに、今の建築の法律では、一定の規模の建物をコンクリートで建てるときは、使ったコンクリートの一部でテストピースを作って、「強さ」調べたりしなければなりません。

コンクリートのテストピースは円筒形です。日本工業規格(JIS)という決まり事があるので、直径10cm~15cm、高さ20cm~30cmの円筒形とすることが一般的です。


ちょっと建物のお話しから離れてしまいますが蘊蓄ついでに、テストピースの裏話でもいたしましょう。

テストピースはコンクリートの「強さ」や「性質」を調べるために作ります。一定の手順で行えば実験や試験の結果が同じになることや、条件が違うときの比較がきちんと出来るようにすることが大切ですので形も決まっています。また、特にコンクリートを研究する大学などの研究期間では厳密に調べなければなりませんから、コンクリートの材料である、石(骨材)や粉(セメント)となどの、材料の種類や状態、量をきちんと調べ、きちっとかき混ぜて調合する必要があります。かき混ぜ方でも「強さ」が変わるんですね。かき混ぜている時に余分な水などが入っても影響があります。おまけに、コンクリートは調合してから十分な強さになるまで普通4週間かかります。この間あまり乾きすぎても性質が変わってしまうため、夏などは渇き過ぎないように水を掛けながら、静かに待ちます。筆者も体験しましたが、とても地道な作業です。

セメントと混ぜる水や石のこと

話が前後しますが、コンクリートを作るときに混ぜる水も、コンクリートの「強さ」に大きな影響があります。一般的には不純物を含まない水が良いのですが、不純物がある場合、いろいろな影響があります。砂糖水は濃度によって興味深い結果となります。

また、セメントに混ぜる「石」も「強さ」や「性質」に関係してきます。適切な大きさの「石」が効率よく詰まっていると良いコンクリートができます。「石」は「骨材」と呼ばれ、大きさによって「粗骨材」「細骨材」と言うふうに呼ばれています。大きな骨材の隙間に小さな骨材が入り込み、その間をセメントがうまく入り込むとよいので、骨材の大きさには効果的な組み合わせがあります。上図はその組み合わせの骨材を何種類かの、格子状の編み目ふるいで大きな格子から順にふるい落としたときに、ふるいを通り抜ける比率を表したグラフです。折れ線グラフは、30mmの格子ふるいは全部通り抜け、15mmの格子ふるいには、だいたい30%くらい、4mmの格子のふるいもだいたい30%くらい、0.7mmの格子ふるいでは、10%くらい通り抜ける、と言う風に見ます。(ちょっと難しいかな)

実は、石をどれくらい効率的に詰め込めるか、なんていうことを数学的に考えていた人もいます。これを数学的に扱うと「ケプラーの球体充填問題」などということになります。本格的に興味の沸いた方は参考書リストの中の文献を調べてください。


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