ホーム 建築構造を理解するために 特集用語解説:夏休み てく・テク 山手線 +

夏休み てく・テク 山手線 +
=近代のはじまりを感じる小旅行 Part 2=

 

付録1.用語解説


詰め込む

球形の粒子を、ある大きさの容器に詰め込む場合、同じ径を持った粒子であると、球と球の間にすき間が生じて、多くの球を詰め込めません。これはケプラーの球体充填問題としても興味あるところですが、単純な球で考えると、最初の同じ大きさの球(粗骨材)の直径をD1とすると、この球で詰め込んでもすき間が生じて、一定容器(体積)の中でこのすき間が占める割合(空隙率)は、26%にもなります。でも、直径を小さくすれば、詰め込めます、そのすき間に入る2番目の大きさの球(中骨材)の直径D2は約0.156xD1で最初の同じ大きさの球(粗骨材)の直径の約1/7です。これで、一定体積の中でこのすき間が占める割合(空隙率)は、12%になります。 それでも、すき間がありますから、さらに3番目の大きさの球(細骨材)の直径D3は2番目の大きさの球(中骨材)の直径の約1/7です。これですき間が占める割合(空隙率)は、4%になります。

コンクリートの場合は強く(強度のある)堅い骨材(砕石砂利 など)をすき間無く詰め込んで、固める為のセメントを混ぜたもの(セメントペースト)と十分になじませる必要があります。そこで、のそろった骨材を使用する場合は、1/7径ごとの骨材が理想的にですが、実際の場合には自然に産出したり岩を砕いたりした骨材を使用するのでこんなに上手くいきません。それでも、理想に近いほど、少ないセメント量で高密度、高強度のコンクリートができます。

骨材の大きさを分ける方法に、網ふるい目の大きさを徐々に小さくして分けています。実際に手に入る骨材はあらゆる径の骨材を含みますので、編目を細かくするごとに徐々に通過する量が少なく成ります(粒度曲線)が、理想の場合には、2~3種類の粒径しかありませんから曲線は階段状の折れ線を示します(不連続粒度)。ですから、実際に使用する骨材はこの理想的な階段状の曲線に近いように決められています。


ケプラーの球体充填問題

ドイツの科学者のヨハネス・ケプラーが1611年頃考え始めた、同じオレンジ(球体)を積み上げた場合に体積を最小限にするにはどうするかと言う問題。

オレンジの真上(球の真上)に単純に重ねていく(単純立方格子)場合は
一定の大きさの箱の中に占めるオレンジ(球)の割合(充填率)は約53%、 果物屋さんでオレンジを積んでいくように少しずらして、1つのオレンジ(球)が6個のオレンジ(球)に囲まれる様にする(面心立方格子)場合の充填率は約74%で、これが最高の充填率と考えていたが、証明出来なかった。 以後今日まで390年間証明されず、かろうじて、1958年充填率77.97%を超える配置は無いことがC.A.ロジャーズによって証明された。


十分になじませる必要

結合させる面積を十分に確保して、強さ(強度)を増す。 泥とで作る団子でも、十分に泥と水をなじませた方が強く成りませんか!? モルタル量の少ないコンクリートほど乾燥収縮やクリープが少ないといわれています。


セメント(固めてしまう粉)

石灰石と粘土の混合物を溶融するまで加熱し焼成(コンクリートクリンカー)して細かい粉にしたもの。と化学反応して固まる(水硬性)。

もともとは、古代ローマ帝国時代、ベスビオ火山周辺のポッツォリの丘に在る土壌で、ポッツォラーナと呼ばれ水とともに堅固な塊となることで知られていた。古代ローマ時代のアーキテクトス(archtectus)であるウィトルウィウス(Marcus Vitruvius)によって紀元前30~20年頃に書かれたと言われている建築書(De architectura libri decem)の中(第二書、第6章)に、自然のままで驚くべき効果を発揮する粉末があるとして紹介され、ベスビオ火山周辺に産出するこの粉末と石灰および割石との混合物が水中で固まり、突堤が海中に作れることや、この粉末の火山によって生成された理由が述べられています。また、事実、このコンクリートによって作られた古代ローマ帝国の建造物が現代でも残っています。その後ローマ帝国が滅んで以降、技術も失われたかに見えましたが、かろうじて石造建築の目地材としてのモルタルとして敬承されていました。近代的なセメントが研究されたのは1750年代イングランドの土木技術者のジョン・スミートン(John Smeaton)が岩礁の灯台(エディストーン灯台)を建築するために、古代ローマの水中で固まるポッツォラーナを研究したのがはじまりといわれています。この灯台はその後1882年まで荒波に耐えて、岩礁が侵食されたために立て替えられました。

その後、1796年ローマセメントの製造に成功したパーカー(Parker, J.)や1824年ポルトランドセメントの製造を始めたアスプディン(Aspdin, J.)が現代のコンクリートに貢献していると言われています。


ポルトランドセメント

現在も使われている代表的なセメント


モルタル

セメント(粒径4mm以下の骨材)とを加えて固めたもの。


コンクリート

セメント砂利(または砕石)とを加えて練り混ぜて固めたもの。


小さなの骨材  10mm目のふるいを全部通り、5mm目のふるいを重量で85%以上通過する骨材 細骨材


砂利、砕石

多少大きなの骨材  5mm目のふるいに重量で85%以上とどまる骨材 粗骨材


粒の大きさの分布(粒度曲線)

大きさ(粒径)の混じりあった材の大きさ(粒度)分布を編目の大きさと編目(ふるい)を通過する量で表す方法です。

コンクリートに使用する骨材(砂利砕石)の場合には、ふるいの編目を2.5~30mmとして、それぞれの編目を通過する骨材の全重量に対する重量割合で表します。

コンクリートに使用する、良く詰まる骨材の粒度曲線は、一般的に2領域の粒度(粗骨材細骨材)を持ったものが良いとされ、通常は緩やかなS字を示すと言われています。


水(粉のセメントを固めるのに必要な魔法の物質)

コンクリートが固まるのは、セメントが水と反応(水和反応)して固まります。このときに必要な水の量は、セメントとの重量比(水セメント比)で36~42%だと言われています。それ以上の水は、コンクリートを型(型枠)に詰め込む時(コンクリートの打設)の詰め込み安さ(ワーカビリティ)の助けになりますが、乾燥蒸発で失われて乾燥収縮のひび割れの原因や、コンクリートの強さを弱くします。そこで、出来上がったコンクリート状態が良いように、セメントの量や骨材の大きさや量などによって変えますが。通常の水のセメントの重量に対する比(水セメント比)は50~60%で使用されます。


クリープ(creep)(へこたれる)

バネばかりにおもりをのせていると針はその重さの目盛りのところを指し続けますが、これが、へこたれた、バネばかりは、同じ重りなのに時間が過ぎるほどだんだんと重くなったかのように針が下がり続けます。この様子と同じように、持続する一定の荷重によって、時間の経過とともに変形が増大する現象をいいます。

一方、バネばかりを手で引っ張って、同じ目盛りのところで保っているには、同じ力をあたえ続ける必要がありますが、なまくらな、だめなバネばかりは、同じ目盛りを保つのに、時間が過ぎるほどだんだんと弱い力でよくなってきます、変形量を一定に保った場合、時間の経過とともに内部の力が減少する現象をレラクセーション(relaxtion)と呼んでいます。緊張がとけてリラックスです。


コンクリートの劣化1(コンクリートの老化)

人間の老化と同じコンクリートの劣化は、大気中にわずかにある二酸化炭素(約350ppm)によって表面から徐々に進行します(中性化または炭酸化)。

良いコンクリートでは、この劣化(中性化または炭酸化)は50年で1cm程度と言われていますが、コンクリートの練り混ぜ時に過剰な水分の多い(水セメント比の大きい)劣悪なコンクリートなどは1年で1mm,30年で3cmにもなります。この深さに達すると、コンクリートで保護されていた表面に近い鉄筋が腐食を始めます。内部の鉄筋が腐食を始めると膨らんで(腐食で生成された物質はもとの体積の約2.5倍)その圧力で、中からコンクリートを破裂させます。


コンクリートの劣化2(コンクリートの病気1)

白化現象


コンクリートの劣化3(コンクリートの病気2)

アルカリ骨材反応


コンクリートの詰め込み(コンクリート打設)

何で、詰め込むのに、“打つ”なのでしょうか、それは多分、粉や豆の様なものをびんに詰めるとき、とんとんと、叩いたり、テーブルに打ち付けたりして、振動を与えると、詰め込みやすいし、棒で突くと、さらに、詰め込みやすく、コンクリートの場合でも、よく詰まった緻密なコンクリートが出来ることを知っていたので、打設と呼んだのでしょう。

実際のコンクリートでも、現地で型枠を叩いたり、棒で突いたりしています。

今では、振動する棒で、さらに詰め込みやすくしていますが、いまでも、昔のように、竹竿で丁寧に突くのが丈夫で美しいコンクリート建築物をつくる良い方法といわれています。


聖橋

設計者は、山田守(1894-1966)。他に「京都タワービル」「日本武道館」


アーチ(arch)(迫り出したら届くかな)

石積みでちょっと先へのばしてと片持ち(cantilever)式を紀元前のふるい時期の人は考えていました、今から6000年以上も前にはアーチの原形とも考えられるものがシュメール人たちが造っていたようです。ギリシャ人たちも造っていたようですが、円形はかれらの気持ちにそぐわなかったようで、多くはありません。そのご、ローマ時代に最大の発展をします、円形アーチの全盛時代を迎えました。


へこたれ

元気なく弱ること。

バネで言えば、伸び切ってしまってもとに戻らない状態。

ちなみに、延ばしてももとに戻るのは 弾性(だんせい) という性格、それでは、完全にはもとに戻らない状態になるとどうなるか、塑性(そせい) と言う性格になる。


不純物(コンクリートが強く固まるのに邪魔な物質?)

コンクリートに不純物が入いったらどうなるでしょう?身近にあるものでみてみよう、砂糖はセメント 100 に対して 0.025 程度入ってしまうと固まりにくくなると言われています。なんと、1/4000の重量が入っただけで固まりにくくなって、逆に、セメント 100に対して0.25 程度(1/400の重量比)だと急結してしまうといわれています。

身近なものでは塩も気になりますね。塩はコンクリートの固まり方には影響ないようですが、特殊な例を除き、建物の中には鉄筋が入っていますので、鉄がとても錆びやすくなり有害な不純物です。

では、氷はどうでしょう、セメントとの水和反応が大事なので冷たくしてしまうと化学反応が進まず、だめなようですが、小さな氷だと、粉と粉で混ざりやすいとも言われています。実際に実験も行われているようです。


練り方(手練りが良いか、機械練りが良いか?)

現在はレディーミックスコンクリートと言ってあらかじめ工場で造って、固まる前に、アジテータ車(タンクを積んでコンクリートを工場から運んでいる)で工事現場まで運び、ポンプ車で所定の場所まで送られるようになりましたが、その昔は、工事をする場所のそばで、少量の場合は手練り、量がある場合はミキサと言う機械で練っていました。ミキサは、鉄製の壺の様なかたちをした、一抱えほどの大きさの機械で、壺の中にかき混ぜる為の羽が付いています。その当時は、手練りでじっくり練り混ぜたものの方が断然性質が良かったそうです。でも大量には造れませんね。

今のレディーミックスコンクリートも、原理的にはミキサと同じ作り方ですが、製造設備の整った工場で大規模にオートメーション化されて作られています。


粗骨材(大きめの骨材、砂利や砕石)
<小さめの骨材は細骨材>

粗骨材には大きく分けて2種類あります。1つは河原にある砂利(自然作用によって岩石からできたもの)。もう1つは砕石(岩石を粉砕し人工的につくったもの)です。更に、スラグ骨材(金属精錬などの際に発生するスラグを原材料とし人工的につくったもの)や再生骨材(コンクリートを粉砕し人工的につくったもの)というリサイクル、リユースも試みられています。河原の砂利が最も丸みがあり、セメントペーストが良く行き渡り混ざりやすく良い材料なのですが、河川からむやみに採取すると災害などの危険があるので、許可が必要で、近年は原則的には禁止されて、量を確保できず、その他の粗骨材も多く用いられています。


圧縮強度(固まったコンクリートの性質を表す代表的な数値)

コンクリートの力学的性質は、一般的に圧縮する力に耐える強さ(圧縮強度)で代表されます。それは、コンクリートの圧縮強度が引っ張る力に耐える強さ(引張強度)などに比較して著しく大きく、設計にもこの特徴を生かしているためです。また、いろいろな研究から、圧縮強度をもとに他の強度や強度以外の性質もおおよそ推定できます。

日本では、試験は直径の2倍の高さを有する円柱供試体(直径15cm x 高さ30cm 、直径12.5cm x 高さ25cm または直径10cm x 高さ20cm)によって行われます。アメリカ大陸諸国でも同じです。イギリス、ドイツなどのヨーロッパ諸国では立方体供試体で行われます。


材齢(まぜあわせてからの時間)

コンクリートは材料を混ぜ合わせて練り上がって柔らかく固まっていない状態(これはフレッシュコンクリートと呼ばれています。)、から、数時間程度で固まり始め、通常は28日の時間がすぎると(これを28日材齢といいます)前もって決めていた強度がでるようにセメント・骨材などの種類や量を調整(配合または調合)しています。調合で強度や、固まる時間がきめられるのもコンクリートの性質のひとつです。混ぜ合わされてから91日で計画する場合もあります。コンクリートは固まり始めてから徐々に強度を増しますが、セメントと水の水和反応という化学的なものなので、1年以上続きます。しかし、およそ1ヶ月で全ての反応の70%以上が行われるため、28日(4週間)で代表されることが多いのです。

建物の設計図面や構造計算書で書かれているコンクリート強度は、この28日材齢で必要なコンクリート強度を書くのが普通です。


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