特集『第20回JSCA賞』 選考報告

 

1. JSCA賞委員会委員

委  員  長 竹内  徹 (東京工業大学)
委員/担当理事 新谷 眞人 (オーク構造設計)
委     員 梅沢 良三 (梅沢建築構造研究所)
  梅野  岳 (久米設計)
  岡田  章 (日本大学)
  近藤 一雄 (東畑建築事務所)
  丹野 吉雄 (竹中工務店)
  長谷川逸子 (長谷川逸子建築計画工房)

2. 選考報告

今年の応募は作品賞8件、業績賞1件、新人賞3件であった。今年より応募資格には応募年の4月より会員であること、また作品賞には正会員であること等の規定が加わり、変更周知が足りなかった等もあり上記規定により受付ができなかった作品が2件ほど出たのは残念であった。また上記規定により応募作品が免震・制振技術を駆使した大型案件主体となり、アトリエ系作品の推薦がしづらくなるなどの意見があった。

まず2008年12月9日の第1回委員会で5名の審査員出席の元で慎重に書類審査を行い、応募案件中作品賞6件、新人賞2件の現地審査対象作品を選定し欠席審査員の同意を得た。その後、2009年1月12日、30日、2月10日、17日、27日、3月11日の6回にわたり全現地審査対象作品を概ね全員の審査員で視察した。今年の現地審査は天候に恵まれない日も多かったが、できる限り天候に左右されない評価を心掛けた。

以上の結果を受けて3月27日に審議委員会を開催した。まず新人賞についての議論を行い、ほぼ全員一致でトンボ鉛筆本社ビルを選定した。次に作品賞についての議論を一通り行い、全員投票の上で受賞作を選定した。代ゼミタワーは構造設計のみならず建築作品としての洗練度も評価され、全員の同意を得た。東京大学弥生講堂も細部の詰めの甘さが指摘されたものの、小規模物件が他に無かったこともあり、やはり全員の同意を得た。ここで大きな議論となったのがモード学園スパイラルタワーズである。奔放な外観にかかわらず構造安全性が健全に確保されていることは確認できたが、自由形状と構造合理性の相反の中での革新的とまでは言い切れない外殻構造の解決策の是非や高いモニュメンタリティと内部空間へのしわ寄せをどう評価するか、また今後の構造コンセプトの発展性を評価されたアイランドタワースカイクラブとどちらを選択するかについて議論が交わされた。一次投票の得票数はアイランドタワーの方がやや多かったものの決定的ではなく、その日は一旦採用せずという結論となったが、双方とも一定以上の水準に達しているとの意見により再度4月13日に審議委員会を再招集し、JSCA賞一覧受賞全62作品をレビューした上で再度議論を行った。与えられた形状についてのより合理的な解決策があったか、象徴性を全て否定すべきか等の議論が交わされ、欠席委員2名については予め意見を受けた上で再投票を行った結果、スパイラルタワーズ5票、該当なし2票、委託1票の結果を得たため、スパイラルタワーズを第3の作品賞として採用することとした。なお同作品については審査過程で議論された評価の是非を含めて報告することとした。詳しい内容については審査評に譲るが、施主又は建築家が求める自由形状の建物に対し構造技術者がどのように相対すべきかについて今後の大きな課題を示した作品であったと考える。現地審査に採用できなかった作品も含めて全て力作であり、応募および現地審査の労を戴いたことに深く感謝すると共に、今後の諸氏のご活躍を期待したい。

受賞作品以外の現地審査対象作品を以下に紹介する(カッコ内は応募者名)

作品賞:アイランドタワースカイクラブ(西村章 君)、シスメックステクノパークR&Dタワー(西崎隆氏 君)、相模女子大学マーガレット館(三町直志 君)、新人賞:近畿労働金庫新本店ビル(嘉村武浩 君)
竹内 徹(たけうち とおる)

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