ホーム 建築構造を理解するために コラム東北地方、20年周期、37年周期説の中で

東北地方、20年周期、37年周期説の中で

 

2005雪との闘い

2004年12月1日フルキャストスタジアム宮城の第1期改修工事が始まった。冬期間の工事工程なので覚悟はしていたが例年にない雪に見舞われた。2005年1月~3月の平均降水量は59mmと2004年の同じ時期に比べると2.5倍、3月に入ってから仙台としては20cmの大雪が降った日もあった。12月31日の大晦日NHKのTVでの行く年くる年では、グランド全面照明に照らされた雪景色を放映していた。

あの時は誰しもオープンに間に合うのだろうかと思ったに違いない。設計担当の我々もあの時ばかりは焦っていた。しかし超短工期の現場はめくるめくスピードで変貌し開幕に間に合った。雪との闘いに勝利したのだ。東北地方の建設工事では雪との闘いが、工事工程はもちろん、設計工程にも大きく影響する。そして2006年第2期工事が開始され2度目の雪との闘いが始まった。2006年に入るや否や毎日の様に豪雪被害のニュースが報道されたが、幸いにも現場は1月現在、写真のように積雪は無い。

東北地方の雪荷重

雪国(積雪寒冷地特別地域)と称される地域は北海道、東北、関東、北陸、中国地方を含めた日本海に面する裏日本地域で、国土の約60%、人口は25%を占めているそうです。高齢化は全国平均を上回るスピードで進展し過疎化に拍車をかけ、雪への対応力の低下に繋がっているという。亡くなられた人も100人を越え、お年寄りの人が大勢犠牲になっているのもこういった背景があるのだろう。今冬の東北地方平均累加降雪量が1月半ば時点で345cmと過去5年平均の188cmに対し約2倍となり観測史上最大の降雪量との報道もあった。おそらく、雪国の構造設計関係者は緊張したはずである。

JSCA東北支部では1998年、東北6県の各ブロック会員の協力を得て、東北6県の最深積雪分布図を作成している。支部会員相互の情報の共有化を目指し活動したもので、東北の構造技術者にとって無くてはならないデータとなっている。少しデータが古くなりつつあるので再度ワーキンググループを発足させ見直す時期がきていると考えています。

積雪荷重については、多雪区域を指定する建築基準法施行令第86条3項及び垂直積雪量を定める基準(平成12年5月31日建設省告示第1455号)により、特定行政庁が定めることになっていますがまだ馴染みが薄く、プロジェクトが発生した時点で各々特定行政庁に問い合わせながら決定しているのが実情である。ちなみに私が担当したプロジェクトの積雪荷重算定用の最大積雪深は250cm、(平均単位荷重3kg/cm/m)が最大で、雪下ろしの低減はありませんでした。(秋田県湯沢市の例) <東北以外の構造設計者の方で東北の物件を設計されるときの積雪荷重情報は是非JSCA東北会員を活用ください。地方によっては積雪深が100cm未満になり長期荷重だったのが短期荷重でよくなる場合や、積雪深が変わって積雪荷重が多くなった地方もあるのでご注意を!>

過去の雪による建物倒壊事故での教訓

私の田舎は山形県村山市というところですが、そこから北に少し行った所に大石田町という所があります。私の田舎より秋田県境までは積雪深1m以上の豪雪地帯です。大石田町の学校体育館が昭和50年2月17日殆ど倒壊しました。その時のことを当時の資料で紹介したいと思います。

この建物は屋根上積雪125cm、積雪重量は445kg/m(平均単位荷重3.56kg/cm/m)、設計積雪荷重は210kg/m2を採用しているので約2.1倍の雪荷重が作用した事によって倒壊してしまった。当時の大石田町の最深積雪深は285cmですので、雪下ろしを条件にしない場合の荷重値は285×3×0.7=600kg/m2は最低採用しなければなりませんでした。ただ当時の山形県の条例を見る限りは雪下ろし条件付きで100cmまで低減してよい事になっており、長期200kg/m2以上、短期300kg/m2以上となっていました。(雪下ろし看板設置義務) この事から雪下ろしの習慣が在る地方による低減は非常に危険側であるといわざるを得ません。

また、多雪地域では積雪深×平均単位荷重3kg/cm/m=積雪荷重とするのではなく、雪質(ザラメ雪、しまり雪、新雪)による比重の違い、堆積期間などによる比重の違いで、10%ぐらい割増して積雪荷重を設定しなければならないのではというのが私の持論です。やはり雪国の建物を設計する場合は其の現地に出向いて冬の情報(風向、気温、根雪期間等)を十分得てから設計を開始する事が大事なのです。特に軒先では写真の様に、雪の無い地方では考えられない現象が起こるので十分ご注意を!

20年周期説?37年周期説?

過去に昭和38年(1962~1963)豪雪、昭和56年~59年(1981~1984)豪雪、そして今年平成17~18年(2005~2006)豪雪、並べて見ると大体20年周期になっており今冬の大雪の冬本番は始まったばかりですが、過去の豪雪記録を更新し、20年周期説を裏付ける事になりそうな気配です。

思いつきだが雪国ならではの、耐雪診断による住宅や体育館の倒壊防止対策、雪下ろしのための除雪ロボットによる死亡事故の防止対策、免雪構造(歪センサーと無線の組み合わせによる、滑雪、融雪 屋根構造)等がないだろうかと思案中である。

一方、宮城県沖地震は平均して37年間に1回のペースで発生し、太平洋プレートが年間8cmずつ陸側のプレートに沈み込んで3Mに達すると限界に達し地震が発生すると本人想定されています。前回地震から28年が経過しすでに2m沈み込んで残すところあと1mとされており、これから先30年で99%の確率で発生すると言われています。その矢先2005年8月16日宮城県沖地震(M7.2)が発生、天井落下で多数の負傷者を出してしまいました。只今1月18日11時30分、福島県沖震度3の地震あり。この原稿を書き終えようとしているが今年最初の揺れを感じた地震である。宮城県はじめ東北6県の防災意識も高く地震に強い街造りとしてなお一層の耐震化の推進が始まった。万が一の地震発生、その時どう対応すべきかを常に意識し行動したいものです。


滝田 吉男(たきた よしお) 東北支部担当理事

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