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『鉄筋の継手』- 鉄筋をつなげる継手

 

「鉄筋の継手」とは

「継手」は、2本の鉄筋をつなぎ合わせる部分のことです。鉄筋は運搬できる長さに切断されているため、柱や梁の中で端から端までつながった長い鉄筋が必要な場合、工事現場でつなぎ合わせて使います。このつなぎ合わせ有る部分を「継手」と呼びます。

鉄筋コンクリート構造では、鉄筋は引っ張り方向に耐える力を大きく期待されています。従って「継手」は鉄筋に加わる引っ張り方向の力を十分に伝えることができる必要があります。また、「継手」のある場所によって、工事しやすさが変わりますので、このようなことも考慮して形状が工夫されています。

どのような鉄筋の継手があるの?

鉄筋の継手には、直接鉄筋同士を継ぐ場合と、コンクリートや高強度モルタルと鋼管スリーブを介して力を伝達する間接継手におおきく分けられます。次の表のような「継手」の種類があります。

よく使われるものは個別にご説明します。

  重ね継手  
鉄筋継手 ガス圧接継手
  特殊な鉄筋継手 機械式継手 端部ねじ加工式
    ねじ式(ねじ節鉄筋)
スリーブ充填式
くさび式
溶接式継手 エンクローズ溶接
    フレアグループ溶接

以下に良く採用されている工法を示す。

●重ね継手

短い鉄筋を重ねて一本の様に配置して、コンクリートと一体化することにより、鉄筋に生じる力を伝達する方法です。鉄筋に生じる引張力(または圧縮力)は、重ね部分のコンクリートの付着応力が周囲のコンクリートへのせん断力となり、さらに他方への鉄筋へ付着力によって伝えられるという応力伝達のメカニズムになります。

重ね継手の長さは、鉄筋の種類(異形鉄筋,丸鋼)、径、フックの有無、コンクリート強度などから決定されます。この方法ですと、高い強度の鉄筋や、太い径の鉄筋を用いると継手長さは長くする必要があります。ただし、高強度のコンクリートを使用したり鉄筋の端部にフックを設けたりすると継手長さを短くすることも可能です。

ただし、鉄筋同士が接合している訳ではないので、コンクリートが割れたりすると接合する力がなくなってしまうことなどから、建築工事標準仕様書JASS5鉄筋コンクリート工事2003(日本建築学会)では、D35を超える異形鉄筋の重ね継手には原則として用いないこととしています。

一般的には、D16以下の場合に重ね継手を利用することが多いです。それより直径の大きなD19以上の鉄筋は次に説明するガス圧接継手となることが多いです。

重ね継手
写3 スラブの配筋状況

●ガス圧接継手

鉄筋端面同士を突合せ鉄筋軸方向に圧力(30Mpa/cm2以上)を加えながら突合せ部分を密着させ、酸素・アセチレン炎で加熱(1200~1250℃)し、鉄筋端面を還元状態で溶かすことなく赤熱状態に柔らかくして、圧力によって押し付け“ふくらみ”を形成して接合する継ぎ手工法です。

ガス圧接継手の開発
1950年頃
国鉄技術研究所にてガス圧接の研究が進められる。
1952年
ガス圧接実施第1号 山の手線東京―神田間高架線増築工事に採用

ガス圧接は1938年頃、アメリカで開発されたものです。各種の合金鋼や非鉄金属(ニッケル合金、銅など)への実用化が進み、パイプライン、レールの接合などへの応用がみられていましたが、アメリカでは鉄筋のガス圧接は行われていませんでした。鉄筋のガス圧接は、日本で独自に発達した工法といえます。

写4 梁主筋の圧接作業状況と使用機器
写5 ガス圧接作業(ガス炎加熱+自動加圧)

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