ホーム 建築構造を理解するために 特集紙でためす‘かたち’と‘つよさ’

紙でためす‘かたち’と‘つよさ’

= 簡単な模型で理解する「つよさ」のしくみ =

 

2章 紙の‘つよさ’は何で決まるか?

ものの強さ(性能)は何で決まっているのでしょうか?考えてみたことありますか。
ひとつは材料が考えられます。世の中には多くの材料があります。
普段、君たちが目にする建物の多くは木材、鉄、コンクリート等で出来ていますね。
当然、木材、鉄、コンクリートはそれぞれ強さ(性能)が違っていますし、木材ひとつ取って見てもヒノキ、杉等様々な種類があり、その強さ(性能)も違ってきます。

そして、もうひとつ大事なものがあります。
それは、かたち(形状)です。

A4用紙を使い、かたちの違う床(屋根)の模型を二つ作ってみました。

写真2-1 写真2-2

写真2-1は紙を2つ折りにしたもの、写真2-2は紙を4つ折りにしたもの

実際に同じ形を作り、確認してみるのが一番わかりやすいのですが、今回は目でも分かりやすい様に特別なプログラムを利用してコンピューター解析を行いました。

実物と同じ条件になるように同じ材料でそれぞれの形を作り、同じ力を加えて解析を行っています。実際の建物の場合も、どれくらいの強さがあるか作って試すことが出来ないので、建物と同じ形にしコンピューター上で解析を行い、建物の安全性を確かめています。

写真2-3 写真2-4 (写真2-3のアニメーション / 677 KB)

写真2-3写真2-1に力を加えた時にどれくらいの力が紙の中に発生しているのか、どのようにたわんで(変形して)いるかを解析した結果を表した写真になります。

紙の中のどこにどれくらいの力が発生しているのか、色で比べられるようになっています。

写真2-4写真2-3のアニメーションです。実際には見ることができない、紙のたわむ様子と力の発生する様子が見られます。

写真2-5 写真2-6 (写真2-5のアニメーション / 730 KB)

写真2-5は同様に写真2-2の結果になります。 2つ折りと同じ条件なるように同じ力を加え、解析を行っています。

二つの違いが分かりやすいように、2つ折りと4つ折りを並べて真上から見てみます。

写真2-7 (左が2つ折り、右が4つ折りになります。)

写真2-7でわかるように4つ折りの方がより大きな力が発生しています。

また、写真2-3写真2-5を比較すれば写真2-3より写真2-5の方がたわんで(変形して)いることが分かります。
したがって、発生している応力が小さく、たわみが小さい2つ折りの方が、4つ折りよりも「強く(つよく)」、「剛い(つよい)」ということになります。同じ材料を同じ量だけ使っても、形の違いにより違いがあるのです。

※「強さ(つよさ)」と「剛さ(つよさ)」
「強いが、剛くない」場合もありますが、「強くないが、剛い」場合もあります。 「強さ」は「ここまでの力であれば壊れません」という、耐えられる「力」の限度を表すもので、「剛さ」は、ある力が作用したときのたわみにくさ(変形のしにくさ)を表したものです。

写真2-8

写真2-8はよく駐輪場などで見かける屋根です。

普段、何気なく使っているものにも、その形をしている理由があるのです。

物の強さには「材料」と「形」が大きくかかわってきます。この2つによって、その物の持つ「強さ」と「剛さ」が決まります。そして、物の持つ強さ以上の力が加わった場合に物は壊れるのです。

これは実際の建物でも同様です。どの様な材料をどれだけ使い、どの様な形状にするかによって、その強さは大きく違ってくるのです。


写真2-3写真2-7=シミュレーション画像協力:株式会社ウチダデータ)

※掲載された記事は執筆当時の法令・技術情報に準拠して執筆されています。ご留意ください。

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