ホーム 建築構造を理解するために 特集木造住宅の耐震診断・補強

Q5.費用はどれくらい?

 

いくら費用がかかるのかは、大変気になるところです。費用は、作業別に大きく分けると、

  1. 耐震診断についての調査・診断作業・資料の取りまとめ
  2. 補強設計(耐震診断で補強が必要との判断が出たとき)
  3. 補強工事(耐震改修工事)
  4. 改修工事の監理

などから構成されます。

もっとも、費用が高いのは、補強工事で、その費用は選択した補強内容によって大きく変化します。調査の過程でより精密な調査をしなければいけないケースもありますし、これによって工事内容も変化することもあります。こうした、現場状況による変動部分も見込まれる点についても留意しなければならないでしょう。

 耐震診断の費用

木造建築の耐震診断についての実際の金額は、インターネットなどで公表されている範囲では5万円~15万円程度が主流です。この金額は、壁の仕上げ材をはがして隠れた部材確認するようなことはせず、図面や目視で調査する範囲のもので、金額の増減は、建物の面積や、既存の図面の有無などによります。

 補強設計(耐震改修設計)の費用

補強設計は、耐診断の結果補強が必要と判断された時に行いますが、補強を行った後の耐震性などの性能判定や、補強工事の概算見積なども含める事例が多いようです。参考までに120m2程度の住宅の耐震診断・補強設計を行った事例から業務費の内訳書をご紹介します。(→業務費内訳書参考例→補強設計図<抜粋>参考例) 

なお、補強設計の費用は、建物の規模、調査の有無や頻度、図面の作成枚数などに拠りますので、耐震診断の結果を受けて作業の内容と費用の見積をとるとよいでしょう。設計費用については、当会関西支部が検討した算定式なども比較用としてご利用ください。実際の見積額の判定は、自治体の相談窓口などでも相談にのってもらえると思います。

※JSCA関西支部ホームページより抜粋

 補強工事の費用

補強設計の内容で大幅に増減します。残念ながら具体的な金額範囲はここでは触れることが出来ません。建物の面積や許容できる予算範囲、予算が少ない場合は、「とりあえず倒壊しない程度」といった基準で、補強内容を調整し、費用の調整はある程度可能です。無駄な補強をしないようにすることも大切なポイントです。

なお、工事中に判別した事項(たとえば、仕上げ材を取り去って柱を確かめたら腐朽していて交換しないと強度が確保出来ないなど)によって、改修内容を変更しなければならないこともありますので、こうしたことも考慮しておく必要があります。


※掲載された記事は執筆当時の法令・技術情報に準拠して執筆されています。ご留意ください。

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