JSCA賞 受賞者JSCA AWARD WINNERS
第36回
奨励賞
堀田 祐介 / 田町タワー
建物名称 | 田町タワー |
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所在地 | 東京都港区芝5-33-1 |
主要用途 | 事務所、店舗、保育所、診療所、自動車車庫 |
建築主 | 株式会社田町ビル/徳栄商事株式会社/ 三菱重工業株式会社 |
設計監理 | 株式会社三菱地所設計 |
施工 | 清水建設株式会社 |
建築面積 | 5,936.10 ㎡ |
延床面積 | 112,372.52 ㎡ |
階数 | 地上29階、地下2階、塔屋1階 |
最高高さ | 156.0m |
主要構造 | S造、CFT造、SRC造(芯棒部分、地下) |
世界の高層建築を見渡した時にRCコアウォールを用いた設計はもはや主流の一つとも考えられる。本計画は、地震国日本においてこのRCコアウォールシステムを上手に取り入れて高い耐震性能を効率的に実現することをテーマの一つとしている。
近年都心部の大規模オフィスビルでは、高層部と低層部で異なる用途がよく計画される。本建物は6階より上部に事務所、5階の設備階を挟んで4階以下には店舗や診療所などの事務所以外の用途が配置されている。6階以上に来訪する人は、2階のオフィスコアでエレベーターに乗り込んだ後は低層階を通過し6階以上で再びコアから出る。つまりオフィスコアは低層部において固めやすい。しかし単純に低層コアをRC連層耐震壁としては、合理的な設計が難しい。そこでオフィスコアの下に最大1500角の弾性すべり支承を計10基配置し、地下2階から5階のオフィスコアと周辺の鉄骨ラーメンフレームの間にクリアランスを設けることで、オフィスコアが横滑りしてRCコアウォールに生じる地震力を頭打ちする機構を考案した。さらに横滑りするRCコアウォール最下部と周囲の建物基礎の間には最大減衰力2,400kNでストローク±30cmを集中配置し、地震入力エネルギーの約35%を吸収できる制振構造システムを考案。「芯棒型制振構造システム」として本建物に導入した。RCコアウォール(芯棒)を構成する壁厚さは30~50cmでありオフィスコアの大きさは鉄骨造で計画する場合と変わりない。また意匠設計者、設備設計者と会話を重ね、芯棒周りの可動部での建築設備の横断や動線の往来を最小化し芯棒周りのディテールを極力単純化した。一方芯棒周りのダンパーは効率的に地震エネルギーを吸収しており、従来オフィス階に配置されていた粘性ダンパーはゼロとなり、その他制振装置の台数も大幅に縮減された。ダンパー配置数の縮減によって創出されたスペースはいこいのスペースとしてのウィンターガーデン等の新たな建物装置へと還元されている。また制振装置台数の削減や地上部におけるコンクリート構造の積極的採用は、使用する鉄骨数量の削減にも寄与し、建設時排出CO2の縮減と共に建築主からの要望であった効率的な方法での高い耐震性能の確保にも貢献することができた。
写真 撮影 エスエス/中島真吾 SS/Shingo Nakashima
堀田祐介
生年 1979年(東京都生まれ)
出身校 早稲田大学大学院 理工学研究科建設工学専攻 修了
主要略歴 2004年 株式会社三菱地所設計 入社 (2012~2013年 Leslie E Robertson Associates NY 在籍)
主要作品 (仮称)東京海上ビルディング計画(施工中)/CLT PARK HARUMI/ hitoto 広島 ザ・タワー/The Park House 晴海タワーズ