JSCA賞 受賞者JSCA AWARD WINNERS
第37回
奨励賞
木下 洋介 / CLAAPIN SAGAE (クラッピンサガエ)
| 建物名称 | CLAAPIN SAGAE(クラッピン サガエ) |
|---|---|
| 所在地 | 山形県寒河江市八鍬川原919-6 |
| 主要用途 | 児童福祉施設 |
| 建築主 | 寒河江市 |
| 設計監理 | 羽田設計事務所、NIIZEKI STUDIO |
| 施工 | 高木・シェルター特定建設工事共同企業体 |
| 建築面積 | 2,392.07㎡ |
| 延床面積 | 2,000.00㎡ |
| 階数 | 地上1階 |
| 最高高さ | 11.18m |
| 主要構造 | RC造、S造、木造 |
本建物は山形県寒河江市の道の駅敷地内に計画された屋内型児童遊戯施設である。降雪の多い山形県内では冬期に子どもたちがのびのびと遊ぶことができるよう、屋内型児童遊戯施設が多く整備されており、本施設もその一つとして計画された。
敷地の脇に寒河江川が流れ、サクランボ畑が広がる景観の一部となると同時に地域のシンボルともなるよう、サクランボの白い花びらをモチーフとした波打つ屋根がおおらかに子どもたちの遊び空間を覆う。この大屋根の下に広がる一室空間が保護者もしくは保育者と子どもが見守り見守られながらのびのびと過ごし、遊べる空間を生み出している。また平面は外周のヒダ状の壁がポケットのように包まれた空間をつくり出し、一室空間でありながら子どもが落ち着ける場所や学べる場所など多様な空間の質を生み出すとともに、運営上の諸機能も配置されている。
設計での最大の課題はおおらかではあるが複雑な屋根形状に対し、意匠と構造がデザインと合理の一致点となる大屋根の形状を模索すること、それを実現する技術的な協力体制の構築(デジタルデザイン、特殊な解析、施工)であった。
構造はかつてのRCシェルに代わり、現在の技術により実現する鉄骨-木による複合シェルを目指し、意匠的に志向される形状を幾何学的なルールにどう落とし込むかを意匠-構造チームが、鉄骨・木の部材の三次元的な配置ルールをデジタルエンジニアチームが、複雑な屋根面への積雪の予測(CFD解析)を解析チームが協力し、多面的に一致点を見出し大屋根のジオメトリーとして収斂させた。また、本事業がPFI事業であったため、施工者も早くから設計に参画し、県内での複雑な施工案件の実績や部材の3次元加工の技術などを生かして高い精度の建築の実現に寄与した。これら各職能の担当者の集まりからなるチームの精緻な協働は、設計時期に重なったコロナ禍でにわかに実現したオンラインの体制にも多大に支えられた。
建築と社会の関係が多様となり、技術が高度化するなかで、さまざまな人的つながりや協働体制を活かすことで、アトリエ規模の専業事務所でできることの可能性や、構造デザインの楽しみ自体を広げることができた。設計を振り返り、そのことを発見できたことがもっとも大きな収穫であったと感じている。

木下洋介
生年 1978年(神奈川県生まれ)
出身校 東京工業大学大学院(現・東京科学大学) 総合理工学研究科環境理工学創造専攻 修了
主要職歴 2003~2011年 金箱構造設計事務所 2011年 木下洋介構造計画 設立
主要作品 オガールベース/ちぐさこども園/NISHIGAWA TERRACE
