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第22回

作品賞

みなとみらいセンタービル

建物名称 みなとみらいセンタービル
所在地 横浜市西区みなとみらい3丁目6-3,4,5,6
建築主 オーディーケー特定目的会社
設計者 大成建設株式会社一級建築士事務所
施工者 大成建設株式会社横浜支店
建物規模 建築面積 5,198㎡ 延床面積 95,220㎡ 階  数 地上21階、地下2階 最高高さ 98.20m
用途 事務所、店舗、駐車場
主要構造 免震構造+制振構造+RC造(一部S造およびSRC造)

本建物は横浜市みなとみらい地区に建つ地上21階の超高層オフィスビルである。計画に際し、好立地における事業性の高いテナントビルとして、高レンタブルな建築計画および経済合理性を追求すると同時に、高い耐震性能を兼ね備えた建築を目指した。

上部構造は居住性と経済性を考慮し、主体構造をRC造とし、1階床下に免震層を配置することで耐震性を確保する計画とした。免震方式は積層ゴム支承と弾性すべり支承を組合わせた方式を採用し長周期地震にも対応している。基準階はセンターコア形式の整形な平面で東西両側のオフィス空間は22.8mの柱型のない無柱空間としている。外周部の壁柱は外装材を兼用しており、垂直に伸びる特徴的なファサードデザインを形成している。

長スパンと壁柱という相反する条件を解決するため、プレキャスト工法によるプレストレスト梁(以下PCaPC梁)を長期部材として配置し、端部を近似的ピン接合とすることで壁柱に働く面外曲げを極力抑えるようにしている。PCaPC梁はコンクリートFc80、緊張材に高強度異形鉄筋USD685を使用することで梁せい1000mmとしている。この梁を2台一組とし3.2mピッチで配置することにより、階高4150mmで天井高2950mmのフレキシビルな空間を実現している。通常、このスパンでは鉄骨梁としており、居住性能の確保が困難な場合が多い。本建物ではPCaPC梁を採用することにより鉛直方向の居住性能はV-30(V-1.5)相当を確保している。また、天井内設備の自由度を高めるため、梁せいの1/3以上の梁貫通孔φ400が連続する有孔梁としている。以上のPcaPC梁の構造安全性、耐火性能および施工性は実大実験により確認した。

水平力に対してはRC壁柱とそれを貫通する鉄骨梁からなるフレームが負担している。鉄骨梁の中央部ウェブパネルには極低降伏点鋼LY100を用い、地震エネルギーを吸収させると共に壁柱に作用する力を制御している。免震構造と制振構造を組合わせることにより、上部構造の更なる応答低減を図っている。また、上層部の鉄骨梁を弾性梁とすることにより、架構全体に復元力を付与し地震後の残留変形を抑えている。

鉛直荷重を支持する部位と水平力を負担する部位を分離した制振システムに免震を組合わせることで、高い耐震性能を確保した。更にPCaPC梁を採用することにより、長スパンと高い居住性を兼ね備えた無柱空間とすることで、高品質で経済性・施工性に優れた鉄筋コンクリート造による超高層オフィスビルの可能性を示すことができた。

有山 伸之

/ 生年生地 /
1965年11月27日 北海道生まれ
/ 最終学歴 /
東北大学大学院修士課程終了 建築学専攻
/ 職歴 /
1991年 大成建設株式会社 入社
現在  同 本社 設計本部構造グループ シニアエンジニア
/ 主要作品 /
アーバンネット名古屋ビル, 本田技研研究所朝霞研究所20号棟,
エスエス製薬本社ビル,御殿山プロジェクトAブロック

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