JSCA賞 受賞者JSCA AWARD WINNERS

About JSCA AWARD

第25回

業績賞

東京スカイツリーの技術的実現

業績の名称 東京スカイツリーの技術的実現
所在地 東京都墨田区押上 1 丁目 1-13、2-17、123-3 他
建築主 東武鉄道、東武タワースカイツリー
設計監理 株式会社日建設計
施工 株式会社大林組
建物規模 建築面積 31,832.56m2 延床面積 227,789.47m2 階数 地上 29 階、地下1階 最高高さ 634m
主要用途 電波塔、店舗、事務所
主要構造 鉄骨造

1)日本らしさを表現する高層タワーデザインの実現
東京スカイツリーは、主用途を電波塔・観光施設とする国内初の634mの建築物である。その構造設計には、公共性の高い首都圏の新しい放送拠点として大災害後にも主要機能を維持する高い構造性能が求められる一方、東京だけでなく日本の新しいランドマークとして、日本らしさを表現するデザインの存在感が求められた。採用されたシルエットは、凛とした緊張感をもつ2つの曲線をもち、日本刀の持つ「そり」と寺院建築における列柱がもつゆるやかな「むくり」をモチーフとする日本らしいデザインであり、それを合理的なトラス構造を用いた架構計画により表現し実現した。

2)既往技術の一連の応用により独自な建築構造を創出した業績
【高層風観測による設計用風外乱の設定】GPSゾンデによる高層風観測を取り入れることで、国内でまだその方法が確立していない600m級構造物の風外乱を定義した。 【高強度鋼材利用とゲイン塔の設計】400~600Mpa級鋼材を主材に採用し、部材重量を抑え高層化を実現した。
【SRC造高引抜抵抗壁杭の設計】大きな引抜力が加わる本タワーの基礎を高い引抜抵抗力と鉛直剛性を持つSRC造摩擦壁杭により実現。
【大断面鋼管の相貫溶接分岐継手の設計】部材の中で格段大きく工程を支配する鉛直部材の継手を極力減らすことを目的に、斜材や水平材との接続部にダイアフラムを省略した相貫継手を採用し、軽快な剛接トラス構造を実現した。
【心柱制振機構の考案と設計】避難階段であるタワー中央の筒形PC構造体(心柱)を利用し、10秒を超える主構造の長い周期まで制動できる心柱制振機構を考案した。

3)本業績において受賞者らが果たした役割
受賞者らは、日本初の600m級の建築物となる東京スカイツリーの構造設計を通じ、国内において研究・技術開発された超々高層に関する成果を応用し、日本らしいデザインをもつ独自の建築構造を創出する業績を挙げた。
【小西厚夫】本プロジェクトの構造設計者として設計開始時より完成まで一貫してその任を務めた。主な実績として、設計初期において有識者会議への答申として通信性能目標を含む構造設計方針を示したこと、2)に示す構造設計における取組み、特に心柱制振機構の考案と設計を行ったことなどが挙げられる。
【中西規夫】本プロジェクトの構造設計に基本設計段階から完成まで参画し、設計段階においてはタワー地上部の解析による構造安全性検証と設計図書の作成、現場監理段階における設計・製作図確認の中心的役割を果たした。
【慶伊道夫】本プロジェクトにおけるプロジェクトマネージャーを務めた。通常の建築物の設計では意匠設計者がプロジェクトマネージメントを行うことが多いが、電波塔という建物の性質から計画・建設費の上で構造の占める役割が大きく、コスト・時間・人の管理を行う本役割と構造設計のまとめ役とを兼務した。

小西 厚夫

/ 生年月日 /
1963年10月5日(滋賀県生まれ)
/ 出身校 /
神戸大学大学院修士課程 修了
/ 主要略歴 /
1989年 株式会社日建設計構造設計室 入社
/ 主要作品 /
鹿児島アリーナ
ピアスタワー
神戸交通センタービル復興
九州厚生年金病院

中西 規夫

/ 生年月日 /
1974年10月31日(千葉県生まれ)
/ 出身校 /
東京工業大学大学院修士課程 修了
/ 主要略歴 /
1999年 株式会社日建設計構造設計室 入社
/ 主要作品 /
信濃毎日新聞本社ビル
立教大学池袋キャンパス11号館
東北薬科大学教育研究棟、岡部本社

慶伊 道夫

/ 生年月日 /
1948年9月2日(北海道生まれ)
/ 出身校 /
京都大学大学院修士課程 修了
/ 主要略歴 /
1973年 株式会社日建設計大阪本社構造部 入社
現在 エードス株式会社
/ 主要作品 /
泉ガーデンタワー
東葛テクノプラザ
ウッドピアいわき
聖路加ガーデン
千代田ファーストビル

一覧へ戻る