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第26回

作品賞

ROKI Global Innovation Center

建物名称 ROKI Global Innovation Center
所在地 静岡県浜松市天竜区二俣町二俣2396
建築主 株式会社 ROKI
設計者 株式会社 小堀哲夫建築設計事務所,Arup
施工者 大成建設 株式会社
建物規模 建築面積 約5000m2 延床面積 約9000m2 階数 地上4階 最高高さ 15.00m
用途 研究施設
構造種別 SRC造

静岡県浜松市にあるフィルトレーション技術を提供する会社ROKIの新研究所である。敷地は眼下に天竜川を望む自然環境に恵まれた山の頂に位置する。研究所という性質から,建物高さを抑え山の斜面に寄り添う形で計画された。建物を大屋根で覆うことで自然の中にひっそりと埋もれるような佇まいとした。

開放性の高い立体的なワンルームとして計画されたオフィスエリアは,天竜川から森を通って心地よい風が流れ込み,大屋根からはフィルター膜により拡散された柔らかい自然光が差し込む半外部空間である。その開放性から視界・音が抜けることで研究員の交流が生まれ,良い発思が生まれることをこの建築には期待されている。

オフィスエリアに配されたひな壇状の床(フラットプレート)と建物全体を覆う大屋根がこの建築における構造最大の見せ場である。徹底した意匠・設備との融合を果たしたフラットプレートと大屋根の存在が開放性と無重力感を空間に与えている。

フラットプレート構造は天井をコンクリートスラブ,逆梁とすることで床下に空間をつくり,設備スペースとする仕組みである。
「建物が自然に埋もれるように高さを抑えたい」,「研究員の立体的なコミュニケーションを可能とするために階高を抑えたい」という建築家の要望から,2階と3階の階高は2750mmと制限され,天井高さを確保するためには構造・設備の一体化が不可欠となった。フラットプレート構造はこの厳しい条件の中で建築家に提案し,採用された構造である。

大屋根はフィルトレーションルーフと呼ばれ,効率的な屋根内の排気,直射の遮蔽・拡散に最適なトラス架構を採用した。天井の仕上げ材はROKI自社製品のフィルター膜である。その膜に影を落とさないように,鉄骨の塗装色や仕上げ材との離隔寸法, 膜照度について検討が重ねられた。大屋根構造は鉄骨と木のハイブリッドトラスを屋根曲面に対し2方向に架け渡している。木材をトラス梁の下弦材CT鋼の座屈補剛として利用し,CT鋼の断面積にあわせ木材の剛性と強度を使い分けた。工場において木材の側面と下面を職人が手作業により1本1本削り,部材断面にひねりと曲げを加えその部材を連続させることで,大屋根の曲面に追従させている。

谷川 充丈

/ 生年月日 /
1976年4月22日(千葉県生まれ)
/ 出身校 /
東京工業大学大学院
総合理工学研究科環境理工学創造専攻 修了
/ 主要職歴 /
2001年 株式会社 久米設計 入社
2007年 Arup 入社
/ 主要作品 /
東京音楽大学100周年記念本館
眞鍋造機本社ビル

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