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第26回

奨励賞

グランフロント大阪における うめきたシップと連絡デッキの設計

建物名称 グランフロント大阪
所在地 大阪府大阪市北区大深町
事業主 NTT都市開発/大林組/オリックス不動産/関電不動産/新日鉄興和不動産/積水ハウス/竹中工務店/東京建物/日本土地建物/阪急電鉄/三井住友信託銀行/三菱地所
全体統括設計 日建設計/三菱地所設計/NTTファシリティーズ
施工 梅田北ヤード共同企業体
設計者 ■うめきたシップ/連絡デッキ 日建設計(基本)、日建設計・大林組(実施)/日建設計
施工者 ■うめきたシップ/連絡デッキ 梅田北ヤード共同企業体 (建築・設備:大林組・竹中工務店)
建物規模 ■うめきたシップ/連絡デッキ 建築面積 1976.61m2(うめきた広場)/ 328.00m2 延床面積 904.10m2 / 328.00m2 階数 地上2階、地下2階/地上2階 建物高さ 13.35m/ 10.85m
主要用途 ■うめきたシップ/連絡デッキ 飲食店舗、多目的ホール/連絡通路
主要構造 ■うめきたシップ/連絡デッキ 鉄骨造(一部 RC 造、SRC 造)/鉄骨造

■うめきたシップ
グランフロント大阪は、関西最後の一等地と言われた大阪駅北側貨物ヤード24haのうち先行して7haを再開発した総床面積57万m²の複合施設である。うめきたシップは、このうちグランフロント大阪の導入部にあたるJR大阪駅北側のうめきた広場に位置する立体曲面の外観形状をもつシンボル建物である。
この立体曲面のファサードとなる建物の構造計画に際し、意匠上の外観に合わせた複雑な架構とするのではなく、傾斜柱で構成される1スパンフレームを2mピッチで27フレーム並べたシンプルな架構構成とした。各フレームは柱が傾斜するため長期荷重時にスラストが発生する不安定架構となるが、床を介して全体を一体化することでこれらのスラストがキャンセルされて安定架構となる「バランストフレーム」による構造計画とした。これらのフレームはアウトフレームとなり建物の外観を形成している。
アウトフレームとなる柱は見付け幅を小さくするためにフラットバー(100mm×200mm)を採用した。外観に現れる梁端部にも柱と同幅となるフラットバーを用いている。耐震要素として1,2階にシームレス鋼管の柱とブレースからなる鉄骨コアを、1階にRC造耐震壁を配置している。

■連絡デッキ
本建物は超高層建物となる南館と北館を道路上空で連結する46mスパンの歩行者通路である。移動時の視認性を高める目的からガラス屋根が採用され、同時に構造部材がその視認性を妨げないような工夫が求められた。
下部道路の車両通行高さの確保に配慮し、46mスパンとなる構造は屋根面と床面の部材全体で鉛直荷重に抵抗する架構計画とした。また透明性を追求し、スパン中央部には斜材がなく、端部の部材を除き斜材がテンション材となる部材配置とした。
上限材および下弦材は各々2つの部材で構成した。2つの部材に分離することで、見付け幅の小さい部材断面とし、また圧縮材となる2つの上弦材をプレートで連結することで水平剛性を高めて屋根面中央部に水平ブレースがない架構を実現した。また上下弦材を2つに分割することは、斜材と間柱が交錯せず仕口の少ないすっきりとした外観形成にも一役かっている。

嘉村 武浩

/ 生年月日 /
1968年9月22日(兵庫県生まれ)
/ 出身校 /
東京大学大学院
工学研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
1993年 株式会社日建設計 入社
2014年 株式会社北海道日建設計へ出向
/ 主要作品 /
ろうきん肥後橋ビル
INAX大阪ビル
龍谷ミュージアム
ザ・リッツ・カールトン京都
出雲市新庁舎
神戸市役所4号館危機管理センター
皇子山総合運動公園野球場

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