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第29回

新人賞

埼玉工業大学ものづくり研究センター

建物名称 埼玉工業大学ものづくり研究センター
所在地 埼玉県深谷市普済寺1690
建築主 学校法人 智香寺学園
設計者 株式会社 松田平田設計
施工会社 竹並建設 株式会社
建物規模 地上1階
建築面積 1029.13 m²
延床面積 981.44 m²
最高高さ 7.905m
主要用途 大学(ラーニングコモンズ)
構造 木造

埼玉工業大学ものづくり研究センターは、学校法人智香寺学園の110周年及び、埼玉工業大学の40周年記念施設として計画されたラーニングコモンズである。節目を迎える大学からの要望は、新しく生まれ変わる大学のシンボルとなり、学生・職員の集う新たな場を創造することであった。そこで、設計チームとして、「森の中で大樹に人が集まる」というデザインコンセプトを提案し、シンボルとなる樹木のような形態の構造体(樹状柱)と、“木”をものづくりの原点と据え、温かみややさしさを持たせた木質空間を提案し実現させた。

本建物の最大の特徴はワークスペースの中央に配置された4本の樹状柱である。約25.5m×21.8mのワークスペースを支える樹状柱は、中央の展示スペースを囲うように配置し、株立ちの大樹のように見せることで展示スペースの中心性を高めるとともに、4つのゾーンに分けられたワークスペースを緩やかにゾーニングする役割も担っている。
樹状柱の形態的な合理性は、1階床レベルでは4本柱でワークスペースのフレキシビリティーを確保しながら、上に昇るにつれて枝分かれし、屋根レベルでは48支点で屋根を支えている点にあり、支点を増やすことで屋根の梁材を経済的なスパンで配置している。

樹状柱は第1枝で330mm角、第2枝で210mm角、第3枝で120mm角としたベイマツの同一等級材(E120-F-375)を使用した。幾何学的な形状操作により全ての枝が幹となる角材の面に平面接合により接続させており、全ての接合部で在来軸組構法の仕口を応用した嵌合接合を採用し、金物を使用しないシンプルなディテールを実現している。
屋根は一般流通集成材(幅120mm×成270~420mm)を最大限活用し、樹状柱の支点を用いて部材長さが6m以内となるよう梁を割付けている。
また、屋根中央の9.1m×9.1mのロングスパン部には5.46mの梁(幅120mm×成330mm)を卍型に架け渡した卍架構梁を採用している。

耐震計画は、南北に配置された機械室まわり等のコアに構造用合板耐力壁(壁倍率約11倍)を、採光の必要な研究室の外壁面にはラチス格子耐力壁(壁倍率約9倍)をバランスよく配置し、耐力と水平剛性を確保している。ラチス格子耐力壁は90mm角のヒノキの小径材を斜めに組み合わせており、空間への圧迫感を軽減させると共に、日射を木漏れ日のように和らげる効果を持たせている。

小林 直樹

/ 生年月日 /
1985年12月19日(神奈川県生まれ)
/ 出身校 /
芝浦工業大学大学院 建設工学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2010年 株式会社 松田平田設計 入社
/ 主要作品 /
ヒューリック府中富士ビル / ESフーズ浜松工場 / ライオン平井R&Dセンター(B棟・C棟・渡り廊下)

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