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第30回

作品賞

京都外国語大学 新4号館

建物名称 京都外国語大学 新4号館
所在地 京都府京都市右京区西院笠目町 6
主要用途 大学
建築主 学校法人 京都外国語大学
設計・監理 CAt
施工 戸田建設株式会社
建築面積 1,635m²
延床面積 4,661m²
階数 地上6階
最高高さ 30.6m
主要構造 S造

JR京都駅から北西に車で約10分。四条通と葛野大路通りの交差点にある京都外国語大学キャンパス。限られたキャンパス内に12棟の校舎が建てられた状態になっているが、キャンパス全体の継続的な更新を予定していた。そこで、キャンパスの中心にあり、老朽化が最も進んでいた「旧4号館」を最初に建て替えるプロジェクトである。1階にラーニング・コモンズ、2階にキャリアセンターとアドミニストレーションを配置。3階から5階には、少人数形式や対話形式の授業にも対応した大小様々な講義室やフレキシブルラーニングエリアを配置し、学生たちによる自発的な活動の場として機能することを目指した。新4号館では1階と中2階のラーニング・コモンズを介し2 つの庭を繋げ、平面的な広がりのある新しい溜まりの場を形成している。

新4号館は、幅約70m奥行き11.5mの扁平な平面形状に対し、3つの構造コアを均等に配置し、全水平力をコアで抵抗する構造システムである。コアは鉄骨造としアンボンドブレースによるエネルギー吸収が期待出来る柔軟な架構システムを目指したが、建築計画的にコアの幅は6m程度におさめることが求められた。建物高さは約30mであるため、コアの塔状比は5倍程度になる。スレンダーなコアを支持している基礎は地盤改良体の上に1.5m のSRCマットスラブという構成とした。コアが負担している長期荷重が少ないことから基礎浮上り検証は静的解析による検証のみならず時刻歴応答解析も行い、基礎の接地圧が許容以内である事を確認した。大地震時における基礎の浮上りが大きいため、浮き上がった状態でも水平力を地盤改良体に伝達出来る機構が必要であった。そこで地盤改良体とSRCマットスラブの間にRCシアコネクターを配置し、支圧により水平力を伝達できるように配慮している。転倒対策として上部構造と基礎の耐力を比較し、直下型極大地震時においても転倒することがないよう、上部構造と基礎の耐力比率をコントロールした。外周間柱は鉛直荷重を支持しているが、地震時においてはコアからのプッシュプルも負担している。1階柱は地震時において柱脚が損傷しないようにガセットプレートによる2方向ピンを採用した。

伊藤 潤一郎

/ 生年月日 /
1977年10月7日(岐阜県生まれ)
/ 出身校 /
東京電機大学院 建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2003年 構造設計集団 入社
2005年 Arup 入社
/ 主要作品 /
太田市美術館・図書館 / クズミ電子工業藤沢新工房 / 台南市美術館2館

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