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第30回

奨励賞

阿南市庁舎

建物名称 阿南市庁舎
所在地 徳島県阿南市富岡町トノ町12-3
主要用途 庁舎
建築主 阿南市
設計・監理 株式会社日建設計
施工 大成建設株式会社 東光電気工事株式会社 株式会社朝日工業社
建築面積 4886m²
延床面積 20704m²
階数 地上7階、地下1階
最高高さ 36.4m
主要構造 S造・一部 SRC 造 免震構造

阿南市庁舎の計画コンセプトは、防災拠点、省エネルギー、市民・議会・行政の三者が共同・連携すること、市民サービス機能の充実、市民が交流でき市民から長く愛され親しまれること等であり、またこれらに対応した建築要素を視覚化して行政としての取り組みを市民へアピールすることであった。

建築計画としては、建物低層部中央に三層吹き抜け空間を設け、この一階部分を市民ロビー(以降阿南フォーラム)とし、これを取り囲むように1~2階に執務室と市民サービスコーナーを設け、3階には執務室と議会関係諸室を配置した。庁舎北側4~7階の高層部には庁舎機能を集約した。1~3階の低層部は見通しのよい1フロアとなっており市民サービスエリア・議会エリア・行政エリアは阿南フォーラムを介して空間的につながる平面計画とした。防災拠点対応としては免震構造を採用、また省エネルギー庁舎を実現する手法として自然換気・自然通風の利用、水平ルーバー庇等による日射遮蔽、ハイサイドライトからの自然光利用及び太陽光発電等を採用した。

構造計画は、地下1階柱頭免震構造とし、主体構造は免震層以下の下部構造を鉄筋コンクリート造、上部構造を鉄骨造一部鉄骨鉄筋コンクリート造とした。北側高層部分はコア部分に偏心K型ブレース、低層部分は二層またぎの耐震ブレースを内部架構に配置して、剛性と耐力を確保している。北東西面外周部には二層にわたる二重偏心トラス梁を配置した。このトラスは通称竹林トラスと呼んでいる。阿南市は江戸時代から竹の産地であり、竹、タケノコ及び竹の工芸品を生産している。よって竹の文化が地域に根付いているものと考え竹林のモチーフを外観に採用した。二重偏芯トラス梁は、建物重量を集約してアイソレータ個数を減らし免震性能を高めている。

阿南フォーラムの屋根面を支持する架構は鉄骨と木集成材から成るハイブリッドトラス梁構造を採用した。阿南フォーラムはこの庁舎の中核となる部分であり、自然光を効果的に取り入れ心地よい明るさをもった空間とすることが求められた。よって、屋根面を約4.3mの幅毎に南北方向に約14度の傾きをもって並ぶ構成とし、傾けたことにより生じた隙間をハイサイドライトとして太陽光を取り入れる計画とした。束材に用いた集成材面は入射光を拡散し、温かみのある空間を実現している。

石田 大三

/ 生年月日 /
1968年1月20日(東京都生まれ)
/ 出身校 /
東京工業大学大学院 理工学研究科 修了
/ 主要職歴 /
1993年 株式会社日建設計 入社
/ 主要作品 /
ポーラ美術館 / 豊洲IHIビル / 中之島ダイビル / ダイビル本館

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