JSCA賞 受賞者JSCA AWARD WINNERS

About JSCA AWARD

第30回

奨励賞

胎内市総合体育館

建物名称 胎内市総合体育館
所在地 新潟県胎内市清水 9-7
主要用途 体育館
建築主 胎内市
設計・監理 株式会社石本建築事務所
施工 小野組・井上材木店JV
建築面積 4710 m²
延床面積 6002 m²
階数 地上2階
最高高さ 17.3m
主要構造 RC造 一部 S 造

胎内市は新潟県の北東部に位置する、海・山・里が一体となった美しいふる里である。本プロジェクトは、老朽化した旧体育館の建て替えで、新体育館は多様化する市民のニーズに対応できる施設として計画された。

「晴れ間の無い冬でもワイワイと楽しめる空間」をコンセプトに、建物はアリーナの内観が最大の特長で、そこには「△」と「□」の図形で覆われた空間がひろがっている。図形はすべて構造体、屋根を構成するトラス架構の一部である。 設計では、トラスの下弦材には仕上げ下地などが取りつかず、配置の制約を受けないことから、はじめに部材配置のパターンを決め、それを平面に広げ展開していく「平面充填配置」に挑戦した。配置のパターンは、正多角形を平面充填する「アルキメデスの平面充填」を参考に、躍動的な印象を受ける正方形と正三角形の組み合わせとした。このパターンは部材の長さと接合部形状がすべて同じである。屋根架構は、屋根面からトラスせい2.5mをオフセットした下弦材と、格子配置した上弦材をラチスでつなげて二方向トラスを構成している。主要な鉄骨サイズは、上弦材がH-390X300、下弦材が2[-150×75、2[-200×90である。7~最大9部材が集合する下弦材の接合部は、裏当て金を一体成型した鋳鋼により、製作を合理化し精度を高めた。

さらに、市民ひとりひとりが集まって活動が広がっていく施設の姿を体現できるよう、下弦材の図形ひとつひとつが「個」として認識できる接合ディテールとした。
耐震計画は、鉄骨屋根にはブレースを配置、下部はRC耐震壁を積極的に活用し、高い耐震性を確保している。日常のスポーツ交流拠点としてはもちろん、災害拠点としても安心して使用できる施設である。
東日本大震災以降、体育館は天井を張らないことが主流となり、表された構造体は空間演出の最も重要な要素となる。ここでの挑戦と実現によって、空間設計の新たな可能性を広げることができた。

原 健一郎

/ 生年月日 /
1968年9月4日(神奈川県生まれ)
/ 出身校 /
東京都市大学(旧・武蔵工業大学) 工学部 建築学科 卒業
/ 主要職歴 /
1991年 株式会社石本建築事務所 入社
/ 主要作品 /
シャネル銀座ビル / 大田区体育館 / 田辺スポーツパーク体育館 / 三木山総合公園総合体育館 / 長野県立大学 ほか

一覧へ戻る