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第31回

作品賞

日本リーテック 総合研修センター

建物名称 日本リーテック 総合研修センター
所在地 茨城県取手市ゆめみ野 4-2-1
主要用途 寄宿舎・その他(研修所)
建築主 日本リーテック株式会社
設計・監理 株式会社日建設計
施工 東鉄工業株式会社
建築面積 3,759 m²
延床面積 7,438 m²
階数 地上2階、地下1階
最高高さ 13.93m
主要構造 RC 造・一部 S 造 屋根:ケーブル構造

本建物は電気設備工事会社である事業者が、合併10周年を記念して建築した研修所である。主に、鉄道・道路などのインフラ関係の電気設備工事に関して、座学だけでなく泊まり込みで実技研修を行う研修所である。事業者からの要求として、1事業者自らが作り上げるプラットホームとしての研修所となること、2人を育てる交流空間を内包すること、310周年の記念に開所するためにローコストかつ短工期であること、の3点が挙げられた。これらの要求に対して、まず、建物自体を低層として、かつ、屋外実習エリアに沿って長い建物とすることで、短工期を実現できるようにした。その上で、内部に3層吹き抜けのアトリウムを設けて諸室が交流空間で繋がるようにし、内部はほぼコンクリート打放し仕上げでスケルトンに近い内装とした。事業者が日常業務で扱うケーブルを建築の主題とし、アトリウム上部に構造ケーブル吊構造によるハーフプレキャスト合成スラブ(以下、PCaスラブ)で下に凸形状の曲面屋根を設けて、アトリウム空間への採光と自然換気の高効率化を図っている。なお、屋根面における防水はPCaスラブ上部に金属屋根を葺いて処置している。

構造ケーブルの設計においては、PCaスラブ自重による張力を長期許容張力をやや下回る程度に設定し、鉛直地震時の張力上昇が短期許容荷重を上回らないこと、逆に強風時の吹上げ荷重でも張力が線形範囲下限(破断荷重の10%程度)を下回らないこと、を設計条件としてケーブル断面を選定した。当初は一本の連続ケーブルによる吊橋形式のケーブル配置を考えていたが、万が一の破断に対するリダンダンシーを考慮し、支持柱を境として外部をテンションロッド、内部をケーブルとする構成とした。PCaスラブとケーブルの取り合い部(ファスナー)は、逆U型の金物でケーブルに載せる形式とし、アトリウムへの部品落下が起こらないディテールとした。ケーブル端部では、タイロッド用ガセットプレートとケーブル端部ネジ式金物の取り合いを一体化して柱に埋め込むディテールを開発した。

構造ケーブルとPCaスラブを現しにして組み合わせる新たな 建築表現に際し、ケーブルの安定性やアトリウム空間に対する安全性などを慎重に配慮して実現した下凸形状曲面屋根は、研修生が行き交うアトリウムに彼らが業務で扱うケーブルによる内観を構築して、技術者に成長していく想い出の場を与えている。

新谷 耕平

/ 生年 /
1971年(大阪府生まれ)
/ 出身校 /
京都大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
1996年 大成建設株式会社 入社
2012年 Samsung C&T Corporation 入社
2016年 株式会社日建設計 入社
/ 主要作品 /
横河電機金沢事業所 / HHK御堂筋ビル / Hundred Circus East Tower

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