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第31回

新人賞

ショウナイホテル スイデンテラス / キッズドーム ソライ

建物名称 ショウナイホテル スイデンテラス / キッズドーム ソライ
所在地 山形県鶴岡市北京田字下鳥ノ巣 23-1 / 6-1
主要用途 ホテル/保育所・体育館
建築主 ヤマガタデザイン
設計監理 坂茂建築設計
構造設計 Arup
施工 サイエンスパーク特定建設工事共同企業体
建築面積 5,061m² / 1,412m²
延床面積 9,087m² / 2,096m²
階数 地下1階地上2階 / 地下1階地上1階
最高高さ 10.6m / 9.9m
主要構造 RC 造+S 造+木造
写真 Hiroyuki Hirai

このプロジェクトは、6棟の建物によって構成される一体の開発である。施主のヤマガタデザインは、地域の力によってまちを作り上げていくことをミッションとした若い地元の企業である。水田に囲まれた豊かで美しい田園地帯で、建築家の坂茂が目指したのは風景に馴染む低層の木質構造である。木造としては厳しい積雪荷重条件(1.5m)となっているが、4種類の異なる構造を、状況に応じてRCや鉄骨との混構造とし、柔軟に各条件に対応するよう設計した。
<ショウナイホテル スイデンテラス>
分棟形式のホテルである。ロビー、レストラン、事務所機能などを有する「共用棟」、合計143の客室を有する3つの「宿泊棟」、温泉を利用した共用風呂の「大浴場」、そしてそれらをつなぐ3つのブリッジからなる。
「共用棟」:木質折板による架構がスパン16mの切妻屋根となる構造で、2階外周の鉄骨フレームと、1階のRC架構と組み合わせて全体を組み上げている。厚み90mmのカラマツ集成材を高い剛性と耐力を有するフルスレッドビスの斜め打ちで互いに接合し、木質の折板を構成している。鉄骨フレームには端部接合をラグスクリューボルトとしたLVLブレース組み込むことで地震力を負担する計画とした。
「宿泊棟」:グリッドにのったシンプルな集成材の軸組に構造用断熱パネルの屋根を乗せた架構を、外周が片持ちとなったRC基礎の上に建てている。共用棟とは、H形鋼によるフィーレン ディールトラスによるブリッジにて接続している。
「大浴場」:ベイマツの湾曲集成材を用いた3方向のフィーレンディールアーチによる球面ドームを、鉄骨によるリングビームに乗せた構造である。アーチの交差部は相欠きとビス、ボルトを併用し、応力の伝達を可能にしている。
<キッズドームソライ>
1階には巨大な遊具が設置された無柱の一室空間となる「アソビバ」と、地下1階には1000種類以上の材料や道具がある 「ツクルバ」を有し、子どもたちが遊び創造力を発揮できる施設を目指している。 厚み45mmのスギLVLをビスで一体化しボックス断面とし、35mをスパンする2方向の球面ドームを形成している。部材が直交する接合では、両方向に軸力も曲げモーメントも伝達できるよう、ラグスクリューボルトを用いた金物を組み込んでいる。リングビームは木質ドームの多くの支点になりつつスラストによる引張力を負担するため、2本のH形鋼を埋め込んだSRC断面とした。

江村 哲哉

/ 生年 /
1983年(愛知県生まれ)
/ 出身校 /
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2008年 Arup 入社
/ 主要作品 /
大分県立美術館 / 直島ホール / おりづるタワー / 静岡県富士山世界遺産センター

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