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第31回

業績賞

東日本大震災後の構造技術者としての支援・教宣活動

東日本大震災の発災から9年の月日が流れた。被災地に居を構えるJSCA会員として、この地震とその時に構造技術者として行った活動を記憶に残さなければならないという思いがある。

当時、我々は「社会貢献」という言葉とは関係なく、ただ構造技術者として当たり前の事という意識で活動していたと思っている。しかし、時を経て考えてみると、自分自身が被災者であることを顧みずに活動した会員、交通機関が停止しており、ガソリン事情も逼迫しているにも関わらず遠方から駆けつけてくれた会員がほとんどであり、単なる「当たり前」ではなく、社会的に我々の職能でなければできないということに対する使命感という各自の高い意識に裏打ちされたものがあったことが蘇えってきた。

このことは感動的であり、この感動とともに活動した記録を長く伝え、再認識する必要があると考えた。そこで、発災10年目に向けたマイルストーンの意味合いも込めて、JSCA賞業績賞に応募をすることとした。
本業績は東北支部の多くの会員とともに成し遂げたものであるが、東北支部会員の賛同と理解を得て私が代表として単名の応募となった。これらの活動を支えていただいた全東北支部会員、ならびに御支援をいただいた多くの皆様に改めて心から御礼申し上げます。

<主な支援・教宣活動>
・応急危険度判定への支援
福島県、岩手県、仙台市において、JSCA 東北支部会員延べ626名の協力
・民間ベース非木造建物の調査
宮城県建築士事務所協会、仙台構造事務所協会との三者協力で約250棟の調査(有料)
・卸町地区悉皆建物調査と分析
調査対象棟数:375棟JSCA会員を中心として延べ130名で調査と分析
・鉄骨置き屋根体育館の被害調査と解析の支援
建築研究振興協会、建築研究開発コンソーシアムとの調査、解析、出版に協力
・「2011年東北地方太平洋沖地震被害報告書」の出版
JSCA東北支部単独で出版発行部数1800部
・仙台市とJSCA東北支部で「災害時における大規模な建築物の応急危険度判定の協力に関する協定」の締結
全国初めての自治体と構造専門団体との協定締結
・東日本大震災の概要、被害、教訓等を伝える講演活動
JSCA支部、AIJ、建築事務所協会、企業等からの依頼で全国で30回以上の講演活動
・東日本大震災の伝承のためのパネルディスカッション
「東日本大震災から5年」をテーマに、JSCA東北支部と建築学会東北支部の共催で、市民、学生も対象とし、東日本大震災の伝承と、減災、備えの大切さを訴えた。

加藤 重信

/ 生年 /
1948年(宮城県生まれ)
/ 出身校 /
東北工業大学工学部建築学科 卒業
東北大学大学院工学研究科 修了
/ 主要職歴 /
安藤建設株式会社(現株式会社安藤・間) / カメイ株式会社 / 一般財団法人宮城県建築住宅センター / 株式会社建築構造センター

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