JSCA賞 受賞者JSCA AWARD WINNERS

About JSCA AWARD

第32回

作品賞

追手門学院ACADEMIC-ARK

建物名称 追手門学院大学 ACADEMIC-ARK
所在地 大阪府茨木市太田東芝町1-1
主要用途 学校
建築主 学校法人 追手門学院
設計監理 株式会社 三菱地所設計
施工 株式会社 竹中工務店
建築面積 6752m²
延床面積 20409m²
階数 地上5階
最高高さ 21.95m
主要構造 S造・SRC造

大阪府北部の巨大な工場跡開発地の中に、新たなキャンパスを作るプロジェクトである。ネット社会で学校に来なくても学ぶことができる時代に、わざわざ通う大学はどんな建築であるべきか。この問いへの答えとして、現実空間だからこそできる人の活動が感じられる建築を考え、図書館やホールといったにぎわいの場を教室で囲み、周辺住宅との見合いが少なく広場を地域に開放できる特徴的な正三角形平面を採用した建物である。

設計開始から開校まで29か月という厳しい条件に加え、敷地が埋蔵文化財調査対象地域であり、この調査期間を短縮しスケジュールの不確実性を無くすことが、プロジェクトの最重要課題であった。これに対し、建物接地面積を減らすことが埋蔵物調査期間を短縮できる有効な解決策の一つと考え、角部の大きな跳ね出し+1階中央部の無柱化による、大幅な基礎面積(建物接地面積)軽減の提案を行った。

主要な耐震要素は、各辺に4枚ずつ配置された、厚さ1200~1300mmの耐震壁である。
約37mの巨大な角部跳ね出しは、跳ね出し部4層で3角形架構を形成し、かつ跳ね出し中間部を吊り材で支持することで、最小限の部材で構成した。1階中央部には、入学式を行える大きなホールを配置し、その上部の図書館下部を無柱化した。図書館は、上下から挟み込むように設けられた耐震壁からの斜柱により支持することで、無柱の1階広場だけでなく開放的な屋上庭園も併せて創出した。

これらの厳しい開校スケジュール達成のための構造の工夫は、建物に人を誘引する正面性、人が集まり周囲の広場とつながる大きな軒下の構築、大きな軒下と一体となり学生が集まる無柱1階ホール、さらに5階教室と一体感の感じられる屋上庭園など、建物の魅力を高める様々な効果を生み出した。

建物外周は、追手門学院の校章である「桜」をモチーフにしたステンレスキャストパネルで覆われている。鋳物自体で風荷重に抵抗し、支持フレームを最小限にすることで、桜の花弁のみで建物が覆われているイメージを表現すると共に、時間や角 度により見え方の変わる特徴的なファサードを実現した。

永山 憲二

/ 生年 /
1978年(東京都生まれ)
/ 出身校 /
横浜国立大学大学院工学府
社会空間システム学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2003年 株式会社三菱地所設計 入社
/ 主要作品 /
東北大学AIMR本館 / 大名古屋ビルヂング / 大手町フィナンシャルシティグランキューブ / 渋谷董友ビル(キユーピー本社ビル) / 津田塾大学アリス・メイベル・ベーコン記念館 / 衆議院新議員会館

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