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第33回

業績賞

限られた工期で実現させた国立競技場の構造設計による施工性向上に対する貢献

国立競技場は、明治神宮外苑の歴史と伝統のある環境の中で、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとして建設された。周辺環境との調和、地域防災への貢献、環境負荷の軽減などに加え、競技者と観客との一体感、世界最高クラスのユニバーサルデザイン、日本らしさの表現、そして大会後も多くの人々に愛され、長く活用される施設となることが求められた。

構造は、「杜のスタジアム」という建築コンセプトの実現、災害に強いスタジアムを目指すとともに、大規模スタジアム特有の施工課題の解決を図る架構計画を最優先に設計を進めた。計画初期から敷地条件、労務・調達状況などを踏まえた施工要望を念頭に様々な検討と提案を繰り返し、創意工夫を加えた結果、建築機能と構造・環境性能を満足させつつ施工性に優れた架構を実現し、工期の遵守に貢献できた。

<本業績における各受賞者の役割>
【水谷太朗】 構造設計責任者として、ナショナルスタジアムとして求められる建築機能と構造・環境性能を満足させつつ、工期を遵守する施工性に優れた架構を実現するため、建築・設備分野、施工部門、発注者などとの調整を図りながら、全体的な構造計画を創り上げた。
【河本慎一郎】 設計・施工フェーズでの中心的な役割を担い、特に計画初期段階から技術部門や施工部門と連携し、スタンド躯体のプレキャスト化・プレファブ化の実現に向けて、実験等の検証を行い、予め設計的な工夫や配慮を施すことで、本スタジアムのフロントローディングの流れを作った。
【村瀬正樹】 スタンド躯体全般の設計の中心的な役割を担い、スタジアム建築では困難とされていた制振化において、3層にわたるソフトファーストストーリー制振構造を考案し、それを実現するための各所ディテールを創り上げることで、耐震性に優れた制振構造を実現した。
【菅野貴孔】 屋根全般の設計の中心的な役割を担い、施工性を考慮した片持ちで自立可能な長さ60mの三角形断面トラスと、それらをむくりを伴うリングトラスによる一体化の考案により屋根全体の安全性の創出、および木材と鉄骨のハイブリッドな部材のディテールを創り上げ、実現した。
【大和伸行】 解析全般の中心的な役割を担い、特にソフトファーストストーリーを適用したスタンド部と屋根架構の連成作用の検証、および部材の安全性について時刻歴応力を用いて全時刻・全部材で検証するシステム開発を行い、本スタジアムの 実現に貢献した。

水谷 太朗

/ 生年月日 /
1968年(奈良県生まれ)
/ 出身校 /
京都大学大学院
工学研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
1994年 大成建設株式会社 入社
/ 主要作品 /
しもきた克雪ドーム / アステラス製薬つくば研究所 / ヨーロッパハウス / 羽田空港P4駐車場 / 大成建設技術センターZEB実証棟

河本 慎一郎

/ 生年月日 /
1970年(東京都生まれ、宮城県育ち)
/ 出身校 /
東北大学大学院
工学研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
1996年 大成建設株式会社 入社
/ 主要作品 /
東陽テクニカテクノロジーインターフェースセンター /
M.Yamano Tower / 大成札幌ビル / カルソニックカンセイ開発・本社ビル / 大手町タワー / 御茶ノ水ソラシティ

村瀬 正樹

/ 生年月日 /
1979年(愛知県生まれ)
/ 出身校 /
東京大学大学院
工学系研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2005年 大成建設株式会社 入社
/ 主要作品 /
京都水族館 / 名古屋JRゲートタワー

菅野 貴孔

/ 生年月日 /
1981年(愛知県生まれ)
/ 出身校 /
名古屋工業大学大学院
工学系研究科社会工学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2006年 大成建設株式会社 入社
/ 主要作品 /
ガーデンシティ品川御殿山 / 大阪経済大学新事務・研究棟 / 横浜インターナショナルスクール

大和 伸行

/ 生年月日 /
1984年(三重県生まれ、千葉県育ち)
/ 出身校 /
筑波大学大学院システム情報工学研究科
構造エネルギー工学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2009年 大成建設株式会社 入社
/ 主要作品 /
高知電気ビル / 東京建物日本橋ビル / オギツ本社ビル

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